きのう『シビックプライド講座』二回目。馬車道駅前で両見さんとヘルシーフードを食べ、BankART Studio NYKへ向かう。本日の講師は紫牟田伸子さん。以下、一回目にシビックプライドの概要説明を行なった伊藤香織さんのレクチュアのメモとともに。

伊藤香織さん:『シビックプライドとは何か』2010.6/7
・シビックプライドには都市をより良い場所にしていく当事者意識が必要。
・「シビックプライドは育まれなければならない。シビックプライドは地域のビジョンであり、国のマスタープランではない。(イギリス初代地方政府大臣デイヴィッド・ミリバンドの就任スピーチ(2005) より)」
・「産業を場所に引きつけ引き込むのは人々なのである(同上)」
・「そのユニークな価値と革新において競い合っている(マイケル・ポーター)」
・人が都市の資産である。
・知恵は都市に偏在している。
・多くの人が潜在的にもっているシビックプライドに形を与え意識化させる。
新潟上古町(かみふるまち)を例に、個人の思いから生まれたグッズや活動の実例が多数スライドにて紹介された。ニイガタTシャツ部、『にいがた湊物語』絵本、ウェディング用まんじゅう、手ぬぐい、上古町商店街のリノベーションなど。
・発信ではなく「届ける(デリバリー)」

約一時間の伊藤さんのレクチュアのあと、当日参加した13人の受講生による他己紹介が行なわれた。うち、横浜在住者は5人ほど、デザイン関係者は私と両見さん以外にお一人だけ。年齢・性別・職業・出身地など、意外性に富んだ顔ぶれである。「面白い人は都市に偏在している」を地でいく講座になりそうで楽しみだ(記:鈴木功)

紫牟田伸子さん:『都市のコミュニケーションデザイン』2010.6/14
バルセロナ・ベルリンの取り組みなどを例に引きつつ、
・都市は統合的に感じられている(多様なコミュニケーションポイントを通じて)
・この街にいるんだという自覚を促すには、異化する要素(イベントなど)が有効、ポジティブな転換が必要。

「シビックプライド」日本での展開に向けて
・排他的な郷土愛にならないこと
・単なるお国自慢にならないこと
・共感を生み出すこと(「ここならでは」という都市の持ち味を活かしつつ)
・リフレクション(反射)させること(外の目による評判が内を変える)

このあと、質疑応答のときに得られた収穫は以下のとおり。

問い:市民の定義とは?
答え:その街に住む人、働く人、来る人。シチズンは住民のみを指すのではない。
問い:では今われわれは市民という状態なのか。
答え:はい。

このくだりはかなり重要な部分で、次の質問「その都市について考え、活動する人の素養、あるいは条件は何か」につながった。
以下、紫牟田さんが用意しておられたスライドから抜粋。

・さまざまな人をつなげること
・創造性を高める交流ができること
・注目のきっかけをつくること
・評判にすること
・外部の人が「恒常的に関われるプラットフォーム」になれること
・持続の仕組みをつくること
・「善意の」公共の空間を共有すること
※「」は鈴木が付与

こういった興味深いレクチュアを受けつつ、横浜の特定エリアに向けてコミュニケーションポイントを考え、実際にコミュニケーションツールを作るというブループワークが来週から始まる(記:鈴木功)

Isao Suzuki